大判例

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大阪高等裁判所 昭和37年(ネ)724号・昭37年(ネ)9号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔争点〕甲(被控訴人)と乙(控訴人)との間で山林x地三番地の所有権の帰属につき紛争があり、訴訟が行なわれた結果、それが甲に帰属するものであることを確認する旨の判決が確定した。ところが、右判決の確定時に右山林から乙が伐採していた立木があり、乙はこれを丙(参加人)に売渡したので、甲は右伐倒木は自分の所有山林に成育したものであるとし、これに仮処分を執行し、さらにこれを換価し、該換価代金の支払を求めた。これに対して、丙は右伐倒木は三番地山林の地上に成育していたものではなく、乙から買受けた山林x地四番の三の地上に成育していたものであつて自己の所有に属する、というのが本件事案のあらましである。

甲は、前記確定判決の既判力は、係争伐倒木に及ぶし、仮にその効力が及ばないとしても、丙が山林x地四番地の三の一部であるとする係争地域につき、右判決は三番地山林であることを確定しているから、丙の主張は既判力に抵触し許されない、と論じた。

これに対して、本判決は以下のように説示して、甲の主張を排斥した。

〔判決理由〕被控訴人は右判決の既判力は本件伐倒木に及ぶし、仮にそうでないとしても、右判決は係争地域が被控訴人所有の三番地山林であることを確定している旨主張するが、たとえ右判決の主文における判断が係争地域の土地と一体をなした立木に及ぶとしても、本件伐倒木は昭和三二年一〇月二一日当時すでに係争地域の土地から分離され独立の動産となつていたこと、前叙の認定から明らかであるから、右判決主文において、右伐倒木の所有権の帰属についての判断の記載がない以上、右判決が本件伐倒木の所有権の帰属を確定したものといえない。また確定判決の既判力は主文に包含された訴訟物である権利又は法律関係の判断について生ずるだけで、理由中の事実の判断にまで及ぶものではないと解すべきであるから、前叙の係争地域が四番地の三山林ではなく三番地山林であるとの前記判決の理由中の事実の判断ににつき既判力を生ずるわけはない。さらに確定判決は口頭弁論終結当時の状態に基きその時点における訴訟物である権利又は法律関係の存否を示すだけであつて、たとえその理由において弁論終結前から、訴訟物である権利又は法律関係の存否を認めていても、口頭弁論終結以前からの右存否までも確定するものではないから、前叙の判決は、本件係争地域が右判決の口頭弁論終結当時被控訴人の所有に属していたことを確定したにとどまり、前示右判決の理由から認められる、被控訴人が右係争地域をその買受当時である昭和二三年一〇月からずつとこれを所有していたとの点についてまで、確定したことにはならない。したがつて、参加人が、控訴人の承継人として右判決確定後四番地の三山林の所有権を取得したことを理由に、右判決終結当時の係争地域についての被控訴人の所有権を争うことは、右判決の既判力に牴触し最早許されないのは勿論であが、参加人が本件伐倒木が伐採当時、控訴人の所有であつた係争地域に生育していたことを理由に、右伐倒木は地盤の所有者であつた控訴人の所有に属し、したがつて、それは、これを控訴人より承継取得した参加人の所有に属するもので、被控訴人の所有に属するものでないとして、その帰属を争うことは、何ら右判決の既判力に牴触するものではない。被控訴人のこの点の主張は独自の見解に基くもので採用できない。(入江菊之助 中島孝信 黒川正昭)

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